起業・創業の心構え

ものごとを始めるためには、強い覚悟が必要だ。
ただ、この覚悟は、活きる死ぬる覚悟ではなく、わくわくする心を感じることであり、ものごとを始めるエネルギーである。

始めるエネルギーとは、始める“元気”のことである。初心とは、この湧き出る元気のことであり、この沸々と湧き出る元気のことを言うのである。

 

1.0.起業・創業の概要と心構え
 
終身雇用の崩壊、労働分配率を無視していることにより、いずれ迎えるリストラ・減給等将来の不安に悩むよりも、自己の能力を自ら開発し、自己責任で人生に挑戦し、その結果「やりがい」「達成感」という人生の目的に到達するという起業動機で創業に関心を持つ人が増えている。
 
ここでは、創業の現況とその心構えを説明します。
 
1.1 起業・創業の歴史
 
日本では、過去3回のベンチャーブームが到来していたが、いずれも産業構造の変革期であり、新産業の担い手を期待されていたのである。
ベンチャーとは、リスクを恐れず新しい領域に挑戦することであり、業種では分けてはいない。
 
■第一次ベンチャーブーム
1970年~73年末 第一次石油ショックで不況期突入により終わった。
素材産業中心 → 加工組立型産業(自動車・電機)
いざなぎ景気の中、列島改造論をきっかけに高度経済成長の時代を迎え、研究開発型のハイテクベンチャー企業が多く輩出された。
 
■第二次ベンチャーブーム
1982年~86年 第二次石油ショックからの立ち直りから始まった。
製造業中心 → 流通・サービス業等の第三次産業拡大
ジャスダックの上場基準の緩和があり、ベンチャーキャピタルによる投資が行われたが、急速成長への投資の空回りと円高不況により衰退してしまった。
 
■第三次ベンチャーブーム
1995年~以降
経済産業省をはじめとする各省庁の支援施策が行われている。 バブル経済がはじけて、いまだに景気低迷が続いている。
現在までのこの時期は、ブームではなく日本がグローバル化されたことによる新しい時代への突入であると思われる。工業社会から知識社会への転換が起こっているといってもよいだろう。
 
第一次・第二次は好景気に乗って始まり、不況への突入時に終わっているブームだが、第三次はバブル崩壊後の低迷景気突入時より始まり、今に繋がっている新たな時代であるといえる。戦後のインフレ時代に乗った好景気から、グローバル化によるデフレ時代へと大きな変化を招いている。
日本のグローバル化は、外国企業の日本進出により確実に進んでいることと情報技術と通信技術の発達は、今後の経営に影響を与えることは間違いない。
 
1.2 起業家・創業者は経済活性化の担い手
 
平成18年5月から施行されました会社法ができるまでは、会社設立のハードルが非常に高く、会社組織での創業は、本当に一世一代を賭けるような一大決心を必要としていた。
とはいえ、日本の開業率はいまだに低く、2000年以降廃業率を上回ることができない。このことが、景気活性化への歯止めとなっている。では、どうして開業率が伸びないのか。
 
その原因は以下;
 
・ 公務員、大企業に勤めるのがよいという風潮 ・ 創業に失敗すると、社会的ダメージが大きく、 法律上も厳しくリスクが大きい
・ 設立時の最低資本金が、高額に法規制されている
 
 
しかし、最近は企業勤めも経営者感覚を持ち、努力をしなくては勤め上げられなくなっている。同じ努力をするのなら、いやな上司のもとで働くよりも、創業への第一歩を踏み出し、自分の夢を叶えようではありませんか!
 
さいわい、創業のためのインフラはITの発達で整備され、高額な最低資本金規制も、会社法の施行で撤廃されて久しいのですから。
まさに、あなたが、経済活性化の担い手となるべき時である。
 
1.3 起業・創業の心構え
 
よく「創業は決意したが、今は不景気だから景気がよくなるまで様子を見ている」と、なかなか創業に踏み込めない人をよく見る。自分の決断力の無さを、何かのせいにしているようでは、いつまで経っても先へは進まないもの。

こういう人は、景気がよくなっても創業はできない、なぜなら状況が変化しても、何か他の口実を見つけることがうまい人だから。
 
政府もこのような大変な時代だからこそ、創業者を支援施策で後押ししているのだ。先ほども申し上げたが、今が創業のチャンスなである。
 
また、時代の変化は、冷酷にも勝ち組と負け組みを作っていく。皆さんには負け組みにならないよう、新しい情報を知識で読み取り、問題に立ち向かえる「知恵」をつけて欲しい。
右肩上がり時代の経営戦略は、もはやこのデフレ時代には合うことはなく、古典派経済学者の理論にしても、すでに存在するものの最適化をはかるものであり、起業家の存在を扱うことができず、あまり参考にはならなくなってしまった。
 
これからは、デフレ時代に対応した経営戦略を勉強して欲しい。
 
成功している人との違いは、ほんのちょっとの差なのだ。早くその差に気づき、その差を埋めることに努力すれば、必ず成功は勝ち取れる。
 
それでは以下に、創業の心構えを記す;

  
■最初から逃げ道を作らない
今までサラリーマンという立場で働いていた方々は、決まった日になれば給料という安定収入があった。しかし、自分の達成感という期待を胸に、起業を決意した時から、決まった日の確実な収入というものはなくなってしまう。今後は、「支出は確実であり、収入は不確実」という厳しい世界へ飛び込むことになるわけだ。このような経験もしたことのない、しかも厳しい世界へ飛び込むのだから、どうしても、「失敗したら」という消極的な考えが思わず頭をよぎってしまう。
もし失敗したら、自分には技術があるのだから又どこかへ勤めようとか、実家の事業を手伝おうとか、最初から逃げ道を確保してから始める人が多いように思う。このように、逃げ道を作ってからの起業の先は見えているといえる。
勿論、苦難を迎えることは多々あると思うのだが、人間は絶壁に立つといい知恵が飛び出すものであり、そのくらいの環境の中でこそ、自分の持っている本当の力が出てくる。それどころか、持ってる以上の力が出ることさえある。
一つの壁を乗り越えると次の壁が待ち構えている、事業とはこの繰り返しで、最初から逃げ道があれば、努力して壁を登ぼることはしないだろう。
結局、自分の能力を出し切らないうちに撤退してしまう。
すなわち、当初の「達成感」という人生の目的を捨ててしまうことになるのだ。
  
■創業を決意した日がスタート
よく聞く話だが、起業しようと折角決意したのに、会社を退職した後「今まで苦労したからここで英気を養って2・3ヶ月のんびりするか」と気を抜いてしまう人がいる。何を考え違いしているのだろうと耳を疑ってしまう。
今まで楽なサラリーマンをやっていて、これから未踏の苦労の道を歩むのに、半端な気持ちではやっていけない。1日でも無駄にしてはいけない。
これは、あくまでも気を抜かずにスタートするように言っているのであって、焦って起業しなさいと言うことではない。
 
■大手企業に勤めた方は注意!!
どんな企業を大手というのかは難しいところですが、要は社名が一般的に知られて、仕事が安定しているところに勤務した経験のある人は要注意であるということだ。
会社の看板で仕事をしていた人は、営業に出ても○○物産という名刺を出せば相手も無碍に断らず、話を聞いてくれるという道が開かれている。内部業務にしても、最初から仕事はあるのが当たり前と思い込み、仕事とは自分の努力でコツコツ獲得するものではなく、仕事とは机の上に溜めずに右から左へ流すものと錯覚してしまいがち。
こんな環境でビジネスをしていると、起業しても元○○物産△△部長でしたと商談時に前説したり、前職の名刺を住所・電話番号を訂正して出すようになってしまうので、注意が必要です。
前勤務先の人脈・取引先は、あまり当てにせず、1からコツコツと始める覚悟が大切なのだ。